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犬の聴力 Part II
2018.02.05 Category/ブログ|ブログ|難聴・補聴器
前回のブログでは犬の聴力までたどり着くことができませんでした。いよいよ今回で本当に犬の聴力検査の結果報告です。人間の聴力検査はクリニックの聴力検査室で行えますが、犬は一体どうやって聴力検査をするのでしょうか?
クリニックにいらっしゃる患者さんは聞き分けのよい患者さんばかりですので、「音が聞こえたら教えてください」と説明しておけば正確に聴力検査を行うことができます。
犬は音が聞こえたら合図をしてくれるのでしょうか?
“Hearing in Large and Small Dogs: Absolute Thresholds and Size of the Tympanic Membrane” H.E.Heffner: Behavoral Neuroscience 1987
アメリカのカンザス大学のヘフナー博士が犬に聴力検査の仕方を教えこんで犬の聴力を計測しました。
犬に聴力検査の仕方を教えるのも容易ではありません。
音が鳴っているのか?鳴っていないのか?を教えてくれるようにゲーム方式で犬を訓練します。見事正解するとおいしい水が飲めるようにしてあげます。
(Heffner 1987よりFigを改変)
目の前にある水の吐水口をなめると犬にとってのゲームスタートです。音が出たら、犬は左にある吐水口をなめる。音が出なかったら右にある吐水口をなめるのがルールです。音がでるか出ないかは半々の確率です。正解すると報酬用の吐水口からおいしい水が飲めます。
訓練の最初が肝心。「音が出ている」、「音が出ていない」ということと、「吐水口をなめるとおいしい水が飲める」という関連性を覚えさせないといけません。
最初は吐水口のすぐそばにあるライトを光らせて興味をひき、光っている吐水口をなめると水がでることを覚えさせます。徐々にライトを消していき、音と置き換えるのです。
文字で説明するとすごく難しく感じますが、この訓練は実際の耳鼻科臨床でも使われる手法です。
首が座ったころから2歳蔵までの幼児の聴力検査にCOR(条件詮索反応聴力検査:Conditioned Orientation Response Audiometory)という検査があります。
子供は音が聞こえたか聞こえないか言葉で教えてくれませんから、音をした方を振り向くという行動を手掛かりにします。
右のスピーカーから音が出たのか、左のスピーカーから音が出たのかを、首を振り向かせることを判定基準にして聴力検査をしていきます。報酬はそれぞれのスピーカーの下にあるおもちゃが光って動くこと。最初は音を出すと同時におもちゃを光らせて興味をひかせます。何回か行ううちに、子供は音がしたスピーカーの下でおもちゃが光って動くらしいということを覚えます。すると、音をスピーカーから出しただけで、おもちゃが光って動くことを期待して音のでるスピーカーの方に顔を向けるようになるのです。
それでは肝心な犬の聴力の結果は?
(Heffner 1987よりグラフを改変)
あまりヒトと変わりがないような・・・。
しかし、犬の方がずいぶん高い音まで聞き取っているのがヒトとは大きく異なるところです。ヒトでは20,000ヘルツまで聞き取るといわれていますが、犬は64,000ヘルツまで聞き取れています。
結論としては、ヒトが聞こえている周波数帯は犬も同程度の聴力ですが、高い音は犬のほうがよく聞こえているということになります。
子供の聴力検査についての質問は
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