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寒くなりましたね。鼻毛すげー
2017.11.13 Category/ブログ
うちの受付の女の子から質問された。「鼻毛には冬毛があるんですか?寒くなったら鼻毛が増えたほうがあったかいよね♡」池上彰さんなら「いい質問ですねー」と返すのだろうが、
「え・・・。知らない・・・。」とちょっと引いてしまった・・・。
第一、ヒトに冬毛なんてあるのか?
子供のころに飼っていた柴犬は冬になるとあったかそうなふわふわでモコモコな毛になっていたからあれが冬毛なんだろうけど・・・。
仕方がない、全力で調べてみることにした。アメリカのデーターベースで検索すると、冬毛について調べた研究は多数見つかるが羊や犬、ねこなど納得のいく対象動物ばかり。ヒトに冬毛があるかどうか調べた研究なんてないよ・・・。冬になったら、おじさんの頭髪がふわふわの冬毛でふさふさになるなんてないですもん。春には、「お父さんの冬毛がおちて掃除が大変!!」なんてぼやく奥さんはいない。
“Human Hair Cycle” 「ヒトの毛の一生」Saitoh, et al., 1969 ずいぶん昔の1969年に、ヒトの毛がどのようなサイクルで成長し、脱落しているかを調べた研究を見つけた。しかも研究者は資生堂に所属している。化粧品会社だけに、こんな研究もしているのですね。高度経済成長真っ盛りの日本でこんな研究をしてたのか?
21歳、30歳、60歳の3人の男性が研究対象。おそらく、この3人は資生堂研究所の研究員で60歳が上司、若者二人は部下だろう。研究者自ら、あちこちの自分らの毛を2年間ずーっと観察していった研究。最後には60歳男性(おそらく上司)の頭頂部のヘアサイクルを調べて自虐的な完結。
なんとこの論文の中に“Summer-Hair”(夏毛の定義として、毛の成長期が6月20日から9月20日に入っている毛とする) “Winter-Hair”(冬毛の定義として11月20日から3月20日が成長期に入ってる毛にする)という記述を発見!!
あくまでも毛の成長期によって区別をするだけであり、冬毛はふわふわであったかそうとか夏毛は硬くて短くて涼しそうという性質での区別はできないみたい。ちょっとがっかり。
この研究の結果としては夏毛と冬毛の間に毛の成長サイクルに違いはなかったとの結論。やっぱりヒトの毛にはイメージどおりの夏毛、冬毛ってなさそうです。
この研究が対象とした毛は「もみあげの下」「口ひげ」「指の毛」「腕の毛」「すね毛」であり、本当に知りたかった「鼻毛」はなかった・・・。
鼻毛の役割って温かさや寒さを防御するものではなさそうです。こういった研究もありました。
“Does nasal hair (vibrissae) density affect the risk of developing asthma in patient with seasonal rhinitis?” 「鼻毛が濃いと喘息になりにくいのか?」Ozturk et al., 2011
まず鼻毛が「ほとんどない人」「ふつう」「剛毛」の3グループに分けて観察(「鼻毛剛毛」とグループ分けされてしまったヒトも切ない)。結果は、鼻毛剛毛グループの勝利!!喘息になりにくいことが分かった。鼻毛があることによってフィルター効果が高くなり、気管支へのアレルギーの原因物質が入り込むのを防いだのだろうとの結論だった。鼻毛ってスゲー。
ヒトの毛には夏毛、冬毛はなさそうだし鼻毛の大きな役割は、寒い時に増毛して温かい空気を体に取り入れるというよりも、細かいゴミを除去するフィルターの役割として発達したと考えるのが良いみたい。回答になったかな・・・。
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