CLINICAL INFORMATIONアレルギー性鼻炎、花粉症に対するレーザー治療
レーザー治療とは
局所麻酔でできるアレルギーに対する手術治療の一つです。
「鼻アレルギー診療ガイドライン2016」では重症の患者さんに対して薬を使うことのほかに手術療法も選択肢の一つとして挙げられています。
アレルギー性鼻炎・花粉症や肥厚性鼻炎など鼻水や鼻づまりの症状に対して鼻の中の粘膜をレーザーで処置することにより症状を軽減させます(アレルギー性鼻炎・肥厚性鼻炎、 耳鼻咽喉科診療プラクティス 10)。レーザーによって粘膜の表面が扁平上皮仮性を起こすので、粘膜表面が少し硬くなります。このため鼻水が出てくるのを抑えられ、粘膜が腫れにくくなるので鼻づまりが起きません。
用いられるレーザーは炭酸ガスレーザー、ダイオードレーザー、KTPレーザー、YAGレーザーなどいくつも種類がありますが、当院では炭酸ガスレーザーを導入しています。
炭酸ガスレーザーはエネルギーのほとんどが粘膜表層で効率よく吸収されるため、深部組織を損傷する危険性がなく安全性が高いことが特徴です。
どういった人が対象ですか?
●花粉症やダニ、ハウスダストによる通年性アレルギーのかた。
●薬を使っても思ったような効果が出ない方。
●妊活中で内服薬を避けたい方。
逆に鼻の中に大きなポリープがあったり、高度な鼻中隔湾曲症による鼻閉であったりする方は対象ではありません。お子さんの場合ですと医師の指示に従える中学生からなら可能です。
効果はありますか?
レーザー治療をすることによって、花粉症とダニ、ハウスダストによるアレルギー症状に対して74-88%の効果があったと報告されています(朝子幹也 日鼻誌53 2014)。
効果はだいたい1.5~2年位つづくと報告されています。花粉症の場合には手術時期をうまく合わせることで2-3シーズン症状が軽減される方が多いようです。
従来の内服薬や点鼻液など、どんな治療法でも100%の効果を期待するのは困難です。異なる治療方法を組み合わせることでよりよい生活を得られるでしょう。
処置をする最適な時期はありますか?
花粉症のかたは花粉症シーズンの少し前が最適でしょう。粘膜が落ち着くまで少し時間がかかりますので、秋の終わりころから冬(1月くらいまで)にかけて処置をしておくのが良いでしょう。
また、ダニやハウスダストのような通年性アレルギーのかたは時期を問わず処置が可能です。
痛くありませんか?
局所麻酔で行います。麻酔液を注射するのではなく、まず麻酔液を鼻の中にスプレーします。次に麻酔液を浸したガーゼを鼻の中にいれて麻酔液が鼻の粘膜に十分浸透するのを待ちます。だいたい15分くらい入れておいてもらいます。注射針を使わないので安心してください。麻酔の効果でほとんど痛みは感じません。ピリピリとした軽い違和感がある時には追加の麻酔を行うことがあります。
レーザー治療が終わったら鎮痛剤を処方します。今までの患者さんの例ですと、鎮痛剤を飲むことでほとんど問題なく日常生活やお仕事ができます。
費用はどのくらいですか?
保険診療で行います。手術料、薬の代金などを合わせて3割負担のかたで一万円くらいとなります。
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施設案内
設備紹介
純音聴力検査装置
- 聞こえの程度を検査する装置です。耳の聞こえだけではなく、補聴器の出力をチェックするための周波数特性装置を備えています。患者さんが使っている補聴器が、調整したとおりの性能を保っているかの検査をすることができます。
当院の聴力検査室は一般病院と同じ広さを確保しており、スピーカーから流れてくる検査音を用いて補聴器を装用した状態を評価する検査ができるようになっています。
DPOAE・ティンパノグラム
- 聞こえを受け取る内耳の有毛細胞の様子を調べることができます。他覚的な検査でもあり、患者さんの意思が反映しない検査です。
鼓膜の動きを検査する装置です。滲出性中耳炎や耳と鼻をつなげている耳管という管に不具合がないかどうかを調べます。
内視鏡システム
- 鼻のなかや、のどの奥深くである喉頭を観察するための内視鏡システムです。視診では確認できない奥深い部分の粘膜の色調や状態を確認することができます。鼻から挿入する大変細いカメラになります。鼻に麻酔をしてから挿入しますのでほとんど苦痛がありません。
頭部用エックス線CT装置
- コーンビームCTとよばれ今までのCTと比べるとエックス線被爆が少なく、微細な病変をとらえる高解像度の画像が得られます。単純レントゲン写真では不明瞭で、はっきり診断できなかった鼻や耳などの病気の診断に大変有用です。いままでは大きい病院でしか撮影できなかったCTですが、当院で撮影することができます。
当院のCTはモリタ社製の3D Accuitomo typeF17を導入しています。
撮影時間は約18秒で終了し、マルチスライスCTの1/3-1/7の低被ばく線量で撮影できます。撮影したデータからは3D構築を行い立体的に診断していくことが可能になっています。データはCDROMにコピーして他院や手術をする病院へお持ちいただけます。
赤外線フェレンツェル
- めまいが出ているときには眼振(がんしん)とよぶ眼球の異常な動きが観察できます。くらい場所のほうが眼振をとらえやすいことが知られています。赤外線カメラを使用して、眼球の微細な動きを録画して観察することができます。
顕微鏡
- 大変狭い耳や鼻を観察する際に、肉眼だけではなく顕微鏡で観察を行います。病変を明るく大きく拡大して正確に診断していきます。